世の中いい話ばかりではない。誰もがそう思っている。何かを手に入れる時も、それが100パーセント完璧なものだと信じている人よりも、「悪いところも少しはあるんだろうけど」と思っている人のほうが多いだろう。そう思っていたほうが、もしもあとで欠点を発見した時の落胆も少ない。いわば自分への予防線のようなものだ。
そんな心理を逆にとって、何かを売り込む時には、うまい話だけを並べるのではなく、10のうまい話の中にひとつだけ悪い話を入れるようにする。
すると相手は「いい話だけを並べて、ともかく売りさえすればいい、というタイプではない。悪い話もあらかじめ教えてくれるなんて、なかなか信頼できる人だ」と評価してくれるはずだ。
誰もが「どんなものにも欠点はある」と思っているからこそ、悪い話も伝える態度に誠実さを感じるわけだ。
これはものを売る時だけでなく、自分を売り込む時も同じだ。とかく自分の長所ばかりをアピールしがちだが、しかし「こういう欠点もあるんです」と最初に見せることで、相手からの信頼度や好感度はぐっと高くなる。
ものであれ人であれ、いいところも悪いところも全部見せてこそ、相手から本当に信頼されるのだ。